滋眼

 

仏の瞳
笑みでもあり
泣き顔でもあり
其処に自分をみいだし
人の心は濾過されてゆく

緑濃い仏閣
砂利のあるきずらい午後
眩い夢は
幻聴で響いてきた
蝉時雨だ
かけだしていく
まっしぐらな影
ひたいにうかぶ
びいどろのいろした汗
誰もこない樹陰に
ふと見つけた仏
笑みでもあり
慄く冷やかさでもあり
わたしは悪いことをしたのかも
しれないと
逃げた母からの距離をふりかえった
 

細い仏の瞳
笑みでもあり
泣き顔でもあり
其処に過去がゆるやかに映し出され
わたしは
背中の冷感を覚える
あの日見つけた
ひとつの想い
其れは
なにかから逃げたかった
わたしの弱点
 

感情をあらわにさせる
初夏の樹陰
今は母は無く
私が母であり
まっしぐらな影を
わたしは追いかける

【投稿者】 星粒

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