クール

 

クールだねとかよく言われる。

もしくは『冷たいヒト』だ。

 

誰かとサヨナラする事になった。
誰からも慕われる良い人だった。僕も好きだった。
皆、別れが辛いのか泣いていた。その人も泣いてた。

 

僕は泣けなかった。嫌いだったわけじゃない。
ただその場にそぐう程度に愛想笑いをしていた。

 

僕の感情は凍ってしまっていた。
本気で怒らない、笑わない、悲しまない。
それは保身の為の防衛本能かもしれない。

傷つきたくなかった。氷は溶け始めている。

 

要領の悪い僕が、歳を取って
周りの環境に合わせる事が出来始めた。
だがそれも保身だ。

 

誰かの為に身を投げ出せるような激しい感情を、
一度くらい感じてみたかった、と思った。

 

【投稿者】 中川 てつや

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