内省的なひとの秋は

細めにあけた窓から

恋の会話が零れ落ちぬように。

ペン先に滲んだ黒インクは忘れて

ひとつの枝の葉がみんな落ちるまで

内省的なひとの恋は

しずかに

休止符のためいきが多いから

やがて

通り雨がひとしきり

斜めに笑いながらいきすぎて

衛生テレビのアンテナが不通になったり

小さなこどもたちが

蜻蛉を追う夕暮れを抜けて

星の落ちる

黒い闇にねむるときも

内省的なひとの夢は

凍ることなく

やっと

染みすぎた黒インクを握り

長い夜に

せつなさをしたためはじめる。

 

1冊の本を読み終わらぬうちに

内省的なひとの部屋は

寝息が流れる。

其れは

いそがしいから眠くなるのだと

彼女は想っているけれど、

その実、

恋に費やした精神力が

すべて

うしなわれたからなのです

【投稿者】 ★

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