春へ

 

 

日付を教える紙が
もういちまい捲られて
薄く 桜色に顔をいろづけて
ワードロープ
古いかたちの服
捨てられなかったもののすべてを
紐でくくるたびに
春への
想いはすこし
煌くほこりのように
そのへんに舞っている。

やっとのことで捨てた
乳母車に散ったチェリーブロッサムの
蒼い空白に沁みた絶唱

春は
哀愁の縁取りの布地のような
緩やかな川の細い流れが
しずかに溶かすこおりや
あまりにも広く
こころを奪う空の
片鱗に
溢れてくるだろう

 

 

 

【投稿者】 ほしつぶ

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