小さな部屋で

 

触れられる
冷蔵庫の音に 
とおく 校庭で見上げたヘリコプターのような
やさしく煩わしい音。
死ぬことが
とてもちかくかんじられる
触れられる
わたしのこころは
つめたくなまめかしい

階下では
何遍目の 夫婦喧嘩
泣き喚く
この世の無常さが 
金切り声と いれかわりたちかわり

よこたわる
じぶんいがい
いやそれさえも
価値のあるものを持たないかもしれない
ただ
かたまりになってごろんと
こどものころ
草叢ででんぐり返しをした
全身にかすり傷を負っても
わらっていた
日の光が 焦げたような香りをさせて

そのときつかんだ花の
名前はいまでもわからないまま

しんぶんの勧誘員が
見過ごすほど
小さな部屋。

触れられる
冷蔵庫の 慰め
それは
こどものころ
耳について
いまは
なくては
ならぬ

【投稿者】 星粒

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